住宅ローン控除を受けていてもiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入するメリットはあるのか?というご相談を受けることがあります。どちらも税金の控除が受けられる制度ではありますが、控除の仕組みが異なります。
大まかに言うと所得税の課税の仕組みは次のようになります。
① 収入 - 【所得控除】 = 課税所得
② 課税所得 x 税率 = 税額
③ 税額 - 【税額控除】 = 実際の納税額
まずiDeCoの掛金は【所得控除】になり、これによって課税所得が減ります。そして住宅ローン控除は【税額控除】になり、税金自体が減ります。順番としてはiDeCo掛金の所得控除が先です。
住宅ローン控除は毎年住宅ローン残高の1%(40万円が上限※1)が10年間、所得税から控除されます。つまりローン残高が2000万円であれば20万円、1000万円であれば10万円、税額から差し引かれることになります。
さらに所得税から控除しきれない場合は、前年課税所得の7%(最大13.65万円)まで※2、住民税からも控除されます。
※1 平成26年3月以前に適用された場合は20万円が上限
※2 平成26年3月以前に適用された場合は前年課税所得の5%(最大9.75万円)まで
所得税の税率については国税庁のホームページで確認できます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
たとえば課税所得が250万円の人であれば、所得税額は250万円×10%-97,500円=約15万円となります。このときに住宅ローンの残高が2000万円であれば住宅ローン控除は20万円なので、所得税は掛かりません。さらに使いきれなかった約5万円は住民税から控除を受けることができます。住民税の税率は約10%なので、前年課税所得も同じだとすると住民税額は約25万円ですが、ここから5万円を控除することができるので約20万円に負担が下がります。
一方でiDeCoの掛金は全額所得控除となり、そのぶん課税所得が少なくなります。仮に掛金を月額2万円とすると年間で24万円。これが課税所得から差し引かれるので、上記のケースであれば250万円から24万円を差し引いて課税所得は226万円に下がります。
そうすると所得税額は226万円×10%-97,500円=128,500円になります。そして所得税で控除しきれない金額は71,500円になり、これが住民税から控除されることになります。また住民税の税額も翌年には226,000円に下がるので、ここから71,500円を差し引くと住民税額は154,500円になります。加入前の住民税額は約20万円だったので、それと比べると約45,000円負担が軽減されたことになり、iDeCoの手数料を差し引いてもメリットがあると言えます。
このように住宅ローン控除を受けていても、iDeCoに加入するメリットがある場合はありますので、気になる方は具体的に試算してみることが大切です。もちろんiDeCoは掛金の所得控除だけでなく、運用益が非課税というメリットもあります。
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